東京格安音楽企画・音楽サークル身内大集合

大手音楽出版社社長に聞く~音楽サークル・身内大集合~東京の格安音楽企画

大手音楽出版社社長に聞く

音楽産業はこの15~20年の間にその様相を一変させてしまった。かつてはレコード会社が音楽のすべてを取り仕切っているとみられていたのだが、現実はアーティストあっての、かなり複雑な状況になっている。その変遷についてアーティストの音楽著作権を幅広く管理する大手音楽出版社社長に率直な胸のうちを語ってもらった。音楽業界はテレビなどのメディアを通してみていると、現在、隆盛を極めているように思える。宇多田ヒカルのデビューアルバムが800万枚を突破し、小室哲哉も多少人気に翳りが出てきているとはいえ相変わらずだ。ビジュアル系を含むロックバンドも依然として若者たちの大きな支持を得ている。だが、レコード業界の激変ぶりには凄まじいものがある。日本の戦後歌謡史を支えてきたプロの作詞・作曲家たちを、レコード業界は専属契約解除という形でとうの昔に見捨ててしまっている。なぜそうなってしまったのだろうか。その経緯をまず聞いてみた。「レコード会社は昔は作詞作曲家も専属だったし、アーティストも自社の系列のプロダクションでマネージメントをしていた時代が長く続いていました。それが1955年にレコード会社系でない渡辺プロダクションが発足し、数年遅れて音楽出版社も生まれてきました。当時の音楽出版社はどちらかと言うと、外国曲の著作権を扱う会社でしたが、1962年に渡辺音楽出版が出来ることによって、渡辺プロダクションに所属するアーティストの音楽著作権はフリー作家を起用することによって管理し、更にレコード原盤の制作管理も行なうようになりました。これをきっかけに数多くのプロダクション、音楽出版社が設立され、それまで何もかもレコード会社でやってきた業務が3分割されました。しかし、そうなったとはいえ、依然としてレコード会社が音楽産業の中心であり、レコードセールスによって音楽出版社も原盤制作者も潤っていたわけです。音楽プロダクションは、主としてアーティストのパフォーマンス、つまり営業や興行で収益をあげていましたが、1960年代後半から70年代にかけてシンガーソングライターが出てくると、既成概念が変わってきます。彼らは作詞作曲から歌唱までをひとりでこなし、収人はレコードセールスからのアーティスト印税と著作権印税が中心になり、コンサートは赤字もしくは賛助金で成り立っているのが実情でした。その構図は今も基本的には変わっていません。レコード会社の専属作家の時代から、音楽プロダクション、音楽出版社の出現によってフリー作家の全盛時代があり、更にシンガーソングライターの出現によって、アーティスト主導型のレコード業界へと変おってきました。現在のレコード会社は、その業務の中心が営業と宣伝になり、レコードの原盤権や音楽著作権は、主として外部のプロダクション、音楽出版社が持っているというのが一般的な構図です。将来のデジタル時代の大きな流れを見ると、異業種も含め、BS、CSやインターネットなどによる音楽配信の動きが顕著になってきた場合、外部がレコード原盤権を持っていると、既存のレコード会社がその配信権まで持てるという保証がなくなるかも知れません。そこで、ソニー・ミュージックェソタテイソメソト(SME)の五藤専務は『自分たちでアーティストを発堀して原盤権を確保して配信時代に備える』と記者会見で表明されています。SMEの30年の歴史をふり返ってみると、スタート時の他のレコード会社、コロムビア、ビクターなどは『レコード会社というのは、レコード制作はすべて自分でやり、そのために作家もアーティストも抱えている』というのが基本姿勢でした。遅れてスタートしたSMEは『作詞作曲家は音楽出版社を通してフリー作家を使い、原盤制作も外部に開放する』という方針を打ち出しました。最初の十年間は、天地真理、太田裕美、南沙織、郷ひろみなど、ヒット曲の大半はその音楽著作権と原盤権を外部の音楽出版社が管理していました。しかし、松田聖子ぐらいから、アーティストをSMEが独自に発堀し始めました。1978年にエピックーソニーができてからは、現SMEの丸山社長は、逆に原盤にこだわりました。『原盤はレコード会社が基本的には持つ。その代わり、アーティスト印税、プロモーション印税、助成金等は売上げに応じた支払いをする』と変わっていきました。ドリームズーカムートゥルーの場合などは、原盤権は在籍中、後半の一時期を除いてレコード会社に帰属し、その代わりアーティスト印税がかなり高額になり、通常の原盤印税以上のものになっていたといわれています。音楽配信時代を迎えた現在、当時の丸山さんの方針は、レコード会社として基本的には間違っていなかったともいえます」レコード会社はここ数年間、各社とも新人アーティストがなかなか出てこなくて、所属するベテランアーティストや大物アーティストのベスト盤で食いつなぐという状態が続いてきた。どうやって将来有望な新人アーティストを発掘するかに四苦八苦していたのである。ソニーの場合も同じような状況だったのだが、同社は新人発掘部隊のSD(サウソドーデベロップメソト)を本社から独立させて、新人発掘に積極的に立ち向かっていこうとしている。同社の五藤専務はその狙いを次のように説明している。〈音楽ソフトがネット配信される時代には、これまで以上に原盤権(レコーディングした音源を商品化できる権利)が重要になる。原盤権がないと、レコード会社はいちいち音楽プロダクションなどに配信の許諾を得なければならない。自ら新人を発掘して原盤権を押さえる必要がある〉〈もたれあいや甘えの構図からの脱却だ。これまで制作部門は、社内ディレクターが頂点で、新人発掘部隊はその下部組織という色合いが濃かった。これではスタッフがディレクターの顔色を見て、そのディレクターが好みそうな新人ばかりを探しがち。ディレクター側も、SDスタッフに声をかければ、いつでも新人のリストがあることに安心してしまう。こうした弊害が目立ちはじめていた〉今では世界の5大メジャーの一角に食い込んでいるソニー・ミュージックーエソタテイソメソトも、30年前の発足当時はレコード業界では後発組だった。そこで、SMEはスタート当時、著作権や著作隣接権は外部にまかせて、自社は原盤の複製権だけを確保するリスク回避で伸びてゆく。だが、その後、松田聖子を発掘した自社オーディションが成功すると、すべての権利を一社で押さえ込むようになった。この戦略は有力アーティストの急増で、SMEを日本のトップ企業へと押し上げる最大の武器として、ある期間まで功を奏すことになる。そこに押し寄せたのが、この数年間続いてきた有望新人不毛時代の到来である。こうして、SMEは創業以来初めて2年連続の赤字決算を経験している。音楽出版社社長の話を続ける。「SMEの場合、不幸にもここ数年は有望な新人が出てこなかった。パフィをきっかけに、ラルクーアソーシェル、ザーブリリアソトグリーソなどが次々に出てきましたが、一時SMEは、良し悪しはともかく、自社で数々のオーディションを実施して、極論すれば権利をすべて押さえる姿勢のように見えました。その間、外部のプロダクションや音楽出版社との接点が薄れてしまったのは事実です。そういう環境の中で、自社で新人発堀ができなくなった途端、急には外部からの新入調達もできず、苦戦した時期があったのだと思います。レコード会社というのは、成熟してくると社員がいつの間にかサラリーマン化するものです。プロとしてのクリエイターを目指してレコード会社を志望するのではなく、日本一になったSMEに安定志向で就職する人が多くなったのも一因だと思います。SMEが設立された30年前の他のレコード会社は、何もかも自社で抱え込んでしまっていたために、新しい音楽ジャンルへの取り組みが遅れてしまいました。SMEは外部と連携プレーで成長し、更に自社オーディションによる新人発堀でより大きく発展してきたのですが、今その新人発堀のやり方を変えようとしています。SMEに限らず、これからのレコード会社はどうなっていくのか。それはアメリカもヨーロッパも、そしてレコードセールス的には世界で第2の市場である日本も、アーティストオリェソテッド、つまりアーティスト主導型になっていくだろうと思います。それはアーティスト個人ということだけでなく、所属しているプロダクションの力とか、関連しているプロデューサーの力もあっての話ですが。現在、インディーズといわれるレコードレーベルにはものすごい数のアーティストがいて、インディーズとしてある程度のCD売上げが保証されているアーティストをレコード会社が多額の契約金を払ってメジャーデビューさせていくやり方が数多く見られますが、これなども″まず、アーティストありき″の具体的な例でしょう」音楽出版社社長はさらにこう語る。「SMEが2000年1月に再度ソニー本社の100%子会社に戻りますが、これは結局(主導型でソフトのSMEが親会社の意向を無視できなくなると一般的には解釈されたようです。つまり、音楽配信事業やメモリースティックウォークマンの発売、プレステ2に関連して、このソフトについては親会社に従わざるを得ないと思われたようです。それに対して、丸山社長は『無理してでもパートナーシップを取らなければならないということではない。我々がやらなければならないことは、新人を育てて毎年きちんと利益を出すことです』と表明されています。SMEが、全社一丸となって新人発堀にかけて行く姿勢をはっきりと表明していると思います」音楽業界は戦後50数年を経て、ビッグービジネスの世界へと変化してしまった。ビジネスである以上、企業としては当然、利益を生んでいかなければならない。その繰り返しの結果、レコード会社はいつしか大企業へと変貌してしまった。だが、音楽という感性の世界はたとえば自動車メーカーのように経済合理性だけで割り切れる世界ではない。「音楽というのは感性の産物だし、結局はアーティストとスタッフの″個″の問題なんです。資金とか情報面は大組織の方が有利な立場にあります。しかし、最終結論・判断を下すのは個人なんです。宇多田ヒカルの場合をみると、最初にSMEに話をもってきたのは系列の音楽出版社グローバルライツのスタッフでした。しかし、SMEは乗らなかった。結局、音楽著作権を管理することを条件に複数のレコード会社へのコーディネイトをして、最終的に東芝EMIに決定しました。それを考えると、日本のレコード会社の歴史で最大のアルバムセールスを記録した、宇多田ヒカルという16才の少女の成功のきっかけは、スタッフサイドから見れば、音楽出版社のひとりのスタッフが作ったものだといえるわけです。まさしく成功のきっかけは″個″なのです。大スター、大ヒットが出る時はいつも同じようなものです。賛否両論で、多分賛成が1割、反対が9割のようなケースが多いはずです。過去の歴史をここ35年位で見てみると、例えば山口百恵の場合も『スター誕生』ではグランプリを取っていない。大根足だの暗いだのと業界内でも決して評価は高くなかった。しかし、作品が意表をつくような、アイドルとしてはちょっと危なっかしい大胆な曲にトライさせて名曲を数多く出しました。それと山口百恵本人が、デビュー七てから毎年大きく進化していったこともあったと思います。ぴんからトリオの『女のみち』は、今でもシングル盤セールスでは『およげ!たいやきくん』に次ぐヒット曲ですが、当時この曲に乗ってくれる人はほとんどいませんでした。コロムビアから出た時は自主作盤だったのでなかなか全国盤にもしてもらえず、ごく少ない関係者が必死になってプロモーションをし、その結果有線から火がっきました」レコード会社はこれからどんな時代を迎えようとしているのだろうか。リストラの嵐の中で、資本力のない会社は次々と淘汰されていく可能性はかなり強い。ビクターに事実上吸収されてしまった老舗のテイチクなどはそのもっともよい事例のひとつだろう。だが、レコード会社と音楽出版社の違いはそこにこそあるのだ。「5年位前までのレコード会社には、音楽出版社と収益構造が似た所がありました。それはどういうことかというと、音楽出版社はレコードを中心とした新曲からの収入と、放送やカラオケなどの演奏権として、旧曲からの収入も多いのが特徴です。レコード会社も新譜だけでなく、旧譜からも安定した収入がありました。つまり、長くやっている会社であればある程、その積み重ねの売上げを確保できていたわけです。ところが、この5年程で旧譜が売れなくなってきました。一方、音楽出版社の方は、20年前までは収入の70%以上をレコードセールスに依存していたのが、98年度は43%にまで減少しました。レコードセールスに関係ない分野の使用料の割合が年々増えてきたことになります。例えば、外国曲の『星に願いを』は、JASRACの使用料徴収額で99年度の外国作品第1位の賞を受賞しましたが、今回で5度目の受賞です。この曲は、1940年のディズニー映画『ピノキオ』の主題歌で約60年前の曲です。この例を見ても、音楽出版社はレコード会社の旧譜に相当する古い曲からの収益も大きな比重を占めていることがわかります。ここ数年はベスト盤が好調ですが、これも旧譜といえば旧譜ですので、過去の財産を持っているレコード会社の方が強いともいえます。ただし、ベスト盤を出せるアーティストの数には自ずと制限があることも事実です。従って、レコード会社の場合は過去の歴史が必ずしも経営の安定性を保障しませんが、音楽出版社の場合は古いこともひとつの価値になり得るということです。最近とみに顕著になってきた現象として、テレビゲームと携帯電話が、レコードの主たる購買層である若い人の可処分所得を減らしています。また、今の若い大は昔よりかえって没個性化してきて、コギャルたちはみんな同じ化粧をし、宇多田ヒカルが売れているというとワーツと飛びつく。800万枚という数字はその具体例ではないでしょうか。レコード会社が抱えている一番の問題は、こういう世相の中で、ミリオンセールスだけではなく10万枚30万枚売れるものもあって、それが次のミリオンに育っていくという予備軍をなかなか作り出せなくなっていることだと思います。中間層を育てていくこらえ性がなくなってきて、ブレイクするまでの3年間を待っていられないケースが増えています。確かスピッツがブレイクするまでに6年間はかかっていると思うし、そういうアーティストは結構いると思うんですが、特にこの2、3年はより極端になってしまいました。よくいわれるように、外資系レコード会社の影響かもしれません。経理上、極端にいえば1ヵ月毎に厳しくチェックされ、利益の上がらない部門がカットされていくと、5年はおろか、3年後を想定した初期投資という考え方は通らなくなってきます。宣伝費のかけ方も、売上げ対比となると思い切った新人への投資が難しくなってくるし、スタッフの数も、ヘッドカウントといわれるように売り上げによって人数が決まっていくシステムでは、業界の活力をなくす可能性があります。ただし、外資系の場合はレコードビジネスの本質をわかっていたとしても、世界規模でビジネス戦略を展開していれば、最終的には数字で経営状況をチェックせざるを得ない事情Eもわかりますが……。その点、音楽出版社の場合は組織も事業規模も小さいし、レコードセールスだけに依存していない安定度はありますが、結局レコード会社との共存共栄なくして将来の発展もないわけで、小まわりが効く分、これからこそが新人アーティスト発堀を含むクリエイティブな分野の業務を強化して、音楽業界の中での役割を全うしていかなければならないと思っています」そんな中で、音楽業界には新しい風も吹きはじめようとしている。1970年代のフォーク全盛時代に一世を風靡した今は懐かしい50歳前後のフォーク歌手たちが、時代を経て再度、一堂に会そうとしている。50代には20代にはなかった50代の俺たちの音楽がある。それを再びまた発信していこう。そんな行動が始まろうとしている。「今度設立された『フォークフレソズアソシェーショソ』は、60年代後半からフォークミューシックというジャンルで一時代を作り上げたアーティストとスタッフが、これからもいい仕事をし、数々の名曲を後世に残したいという機運が盛り上がって発足しました。谷村新司や南こうせつなど、コンサート活動ではまだまだ実績のあるアーティスト達が、ただCDセールスが思わしくないという理由でレコード会社から再契約をされませんでしたが、このアソシエーションの設立が、彼らの今後の活躍を大いにバックアップするでしょうし、音楽出版社の立場からすれば、数々の名曲を何世代にもわたって残して行くという仕事を通じて大いに協力もしたいし、また新しい大人の歌も作れたらと思っています。アメリカでもベテランのデヴィッドーボウイが今までのやり方から離れて、まずインターネットから配信して、その何ヵ月後かにアルバムを出すという作戦を発表しました。音楽配信、音楽配信といいますが、現役のアーティストやヒット曲を配信していくのでは貨しレコード店と同じです。そうではなくて、今、目先のCDが売れないといわれている人たちの音楽の伝達方法のひとつとして配信事業分野がうまく成長してくれれば、それはそれですばらしいことだと思います。いろんなジャンルの音楽を好きな層がいるわけで、CDセールスが若年層に偏っているのは、ある程度世界的に共通している現象です。キャリアの長いアーティスト達が、いつまでも松任谷由実、サザンオールスターズ、井上陽水のようにCDセールスを維持できるわけではないので、配信事業のスタートをきっかけに、今後何らかの対策を練っていく必要があると思います」インタビューに応じてくれた音楽出版社社長は、レコード業界の将来についても次のように語っている。「レコード会社の今後を世界的な規模で見ると、何らかの形で5大メジャーに集約されていく可能性はあります。しかし、一方において日本ではエイベックスのような存在もある。過去においても、フォーライフ、キティ、ボリスター、ファン(ウスのように多くの新しいレコード会社が設立され、それぞれ大ヒット、大スターを輩出してきました。この構図はまた、いつの時代でも必ず出てくるでしょう。新しく生まれるレコード会社が、5年後、10年後も存在している保証は誰にもできませんが、5大メジャーが潰れることはないと思います。なぜなら母体がすでにコングロマリット化しているからです。たとえばSMEの背景をみると、ソニー本体があり、ソニーピクチャーズ、コンピュータエンタテインメントからスカイパーフェクTVまである。ワーナーミュージックージャパソにしても、CNNを含むケ廴フルテレビ、ワーナーブラザースの映画とテレビ番組、タイムやピープルなどの紙媒体もグループ内にある。ユニバーサルミュージックも、ついにレコード部門ではアメリカで1位になりましたが、映画、テーマパークなど幅広い事業を行う企業体の一部です。東芝EMIやBMGファン(ウスも、将来資本構成の変化はあったにしても、企業体としてはやはり世界的コングロマリットであることに間違いはありません。これを日本だけで見た場合は、先程もいいましたが、エイペックスに次ぐ新しいレコード会社、またはレーベル会社が数多く出来てくると思います。新しく出来た会社がメジャーと提携していくのか、それとも吸収合併を繰り返して大きくなっていくのか、民族系のビクター、テイチク、キング、コロムビア、クラウンといった伝統のある会社は新しい時代の転換期をどう乗り越えていくのか、とにかく目まぐるしく変化していくレコード業界になると思います。特に、しばらく目を離せないのが、いわゆる″インディーズ″と称される小さなレーベル会社の存在です。ポリスターの細川社長が、何社かのインディーズ会社を統合してフライエイトという会社を作りましたが、参加している人達は新しい世代の錚々たるメンバーです。レコード業界を、現在の実績ではなく構成的に見れば、5大メジャーを頂点とした底辺にインディーズがいるといえますが、すべては経営者とスタッフの実力次第といえる時代になりました。″アーティストありき″の時代であることは、メジャーであろうがインディーズであろうが変わりませんが、やはりそのことを実際の経営に反映させていくのは、経営者でありスタッフであるわけです。日本の場合、歴史的に見るとレコード会社は電機メーカーが株主であるケースが多かったのですが、現在はそれも多様化しています。これからは、株主が大企業の場合には、親会社の重役にソフトを理解する感性が要求されると思います。SMEの成功は、親会社であるソニーの盛田さん、大賀さんがソフト人間そ。のものであったことによるところが大きかったと思います。日本もやっと親会社の天下りではなく、レコード会社のプロフェッショナルが経営の責任者になれる環境が整ってきました。今後のレコード会社を荷なう若い世代のためにも大変いいことだと思いますが、すべては彼達のカンパリ次第ということになります。今は不景気とレコード購買層の可処分所得の減少、配信というテクノロジーの進展が重なったために急に混乱しているように見えますが、レコード業界だけではなく、日本の企業全体の転換期であり、デジタル時代をきっかけに新しいインフラの構築をしてもらいたいと思ってます」どんな時代になろうと、この世の中から音楽がなくなることは絶対にないだろう。それは誰もが断言できるはずだ。変わるとすれば音楽産業の構造そのものだろう。「世の中の変化に応じて音楽の聴き方、接し方、楽しみ方が変おっても、音楽そのものは人間が本能的に必要とするものだと思います。今の若い人たちの中から音楽が嫌いな人を探すのは難しいことです。音楽好きな人も、サラリーマンになり中年になると音楽とは関係なくなる、とよく言われてきましたが、そんなことはありません。実はみんな、何らかの形で音楽を楽しんできたしこれからもそうでしょう。問題があるとすれば、これまでパッケージ中心にやってきたレコード会社が、音楽配信という問題が出てきた中で、それにどう対応し、どう乗り越え、どういう役割を果たしていくかということでしょう。パッケージがなくなるわけではありませんから、あとは効率の問題でしょうね。現状のままの工場や営業所を維持し、今までの流通形態を続けていくのが果していいりのかどうか、市場の商品も将来的にインターネット販売とか電子決済が実施されていく中で、音楽CDだけがレコード店に行かなければ買えないのか、その辺りから根本的に変わっていくでしょうね」最後に、音楽出版社の将来の展望を聞いてみた。「音楽出版社が今後どうなっていくのかを予測すると、音楽出版社を大きく2つに分けて、レコード会社でいう旧譜に相当する古い曲を持ちながら経営を継続していく会社と、新しくスタートする会社では少し事情が違うと思います。現在、日本の音楽出版社は1850社ぐらいありますが、毎月5社程が新しく設立されています。その中で音楽出版社として独立経営が成り立つのはせいぜい数10社程度でしょう。歴史の長い会社は過去の作品の豊富なレパートリーを管理していますので、レコードセールスに依存する比重が少ない分安定しているともいえますが、その分管理費用等もかさむわけで、絶えず旧曲を使ったコマーシャルや放送、カバーレコードの制作に対するプロモートが必要になってきます。特に将来は、アジア諸国の著作権事情が整備されてきますので、お互いの交流を密にして需要拡大を図る必要があります。つまり、スタンダード曲といわれる作品の再開発が、ますます重要な業務になってくるわけです。新しいメディアが次々に登場し、音楽を使用する環境が広がれば広がるほど、それらへのプロモート業務が要求されます。一方、新しくスタートする音楽出版社は、ひと言でいえばレコード会社と同じく″アーティストありき″に集約されると思います。この″アーティストありき″は、歴史の長い会社にとっても共通したテーマで、絶えず新しい作品を契約していくためには不可欠の要素です。レコード会社とは少し違う角度からアーティストの発堀と育成をしていかなければなりません。つまり、音楽出版社の場合は作品にこだわったプロでなければならないのです。ヒット曲を作らなければならないのと同時に、長い生命力を持ち続けるスタンダード曲に仕上げていく日常の努力が必要になってきます。つまり、″作品ありき″のひとことが、音楽出版社の未来を決定するといえます。そこが根本的にレコード会社と違うところです。古い会社、新しい会社の別を問わず、音楽出版社こそがクリエイティブでなければならないし、当然のことながら著作権管理のプロでなければならないと思います」時代は悲喜こもごもの姿を見せながら、確実に動いている。
激動するレコード業界
ミリオンセラーの暗闇
アーティストのリストラも開始
制作は外部起用が主流
拡大する音楽プロダクションの影響力
岐路に立たされたレコード業界
消えるレコード会社、生き残るレコード会社
ベストアルバムの功罪
現実となった音楽業界の倒産劇
本格化する音楽ソフトのネット配信
音楽界のネット通販の将来性
音楽のネット配信は普及するか?
スターデジオー00Sレコード業界
アメリカのネット配信事情
日本企業のCS放送進出
「MP3」、「メモリースティックウォークマン」
大手レコード会社幹部に聞く音楽事情
揺れる音楽著作権の概念
坂本龍一の「メディアーアーティスト協会」
音楽の著作権元管理は妥当か?
レコード会社各社の動向
音楽著作権の「在り方」の変化
多岐にわたって生じる音楽著作権問題
大手音楽出版社社長に聞く
イメージ通りか?音楽業界の仕事
音楽業界のレコーディングについて
音楽プロダクションについて
音楽出版社の実情
コンサートプロモーターについて
大物音楽プロデューサーに聞く音楽事情
生き残りを賭けて模索を続けるレコード会社
音楽業界、SMEの実情
音楽業界、東芝EMIの実情
ワーナーミユージックージヤパンの音楽事情
音楽会社、ユニバーサルミュージックの話
エイペックスの音楽ばなし
ビクターエンタテインメント音楽会社のはなし
ユニバーサルビクターの音楽事情
ポニーキャニオンという音楽会社
日本コロムビアという音楽会社
日本クラウン音楽会社
ティチクという名の音楽会社
フオーライフレコード音楽会社について
巨大産業となった音楽業界
ヒット至上主義からの脱却