東京格安音楽企画・音楽サークル身内大集合

大物音楽プロデューサーに聞く音楽事情~音楽サークル・身内大集合~東京の格安音楽企画

大物音楽プロデューサーに聞く音楽事情

音楽業界の重鎮のひとりで、ゴダイゴ、島倉千代子、天童よしみをはじめ、多数のヒット曲を手掛けた音楽プ已アユーサーの山田贋作氏(㈱ストーンヘッド)に、プ已アユーサー、芸能プロダクションの仕事について、そして音楽業界の現在・過去・未来について語ってもらった。「今は音楽の分野がジャズ、ポップス、演歌、民謡などと区分けされているけど、僕がこの業界に入った40年前は主流をなしていたのはいわゆる歌謡曲だった。僕は演歌って言葉は大嫌い。好きじゃないんです。歌を演じるというのは。歌手はみんな歌を演じているわけでね。しかも、ブソチャ、ブソチャの1、3でリズムをとるものだけを固定して、こぶしが入っているような歌を演歌として固定している。そんな匂いが感じられて好きになれないんですよ。それに、演歌のあて字として怨歌=怨み歌とか、艶歌=艶っぽい歌、あるいは援歌=人生の応援歌みたいな言い方が、以前はかなり流行りましたよね。それがとてもいやだった。歌は歌謡曲、その時代の流行(はやり)歌でいいと思うけれどね。何もかも意味あり気に定義付けたりする必要なんてサラサラない。それはポップスでもまったく同じなんです。歌は世に連れ、世は歌に連れじゃないけれども、その時代、その時代に大衆が求める流行歌の世界が音楽だと僕は思っている。それをあの歌は″演歌″だと位置づけしてしまう世界の方がおかしいですよ。僕は故・浜口庫之助先生のマネジャーをずっとやってきて、それが縁で音楽プロデューサーの道に気がついたら入っていた。その中で、僕なりに歌作りで一番基本にしているのは、(マクラさんから教えてもらった事であり、先生から盗ませてもらった考え方なんです。(マクラさんの音楽作りの理論というのは、〈音楽というのは″歌は世に連れ、世は歌に連れ″なんだ。だから、音楽にたずさわる人間は世の中の大衆のニーズがどこにあるのかということを先にとらえて、その半歩先に出すとヒットするんだよ〉ということなんです。僕も(マクラさんの言う通りだと思っている。我々は社会が何を求めているかということを一早く感じる感性を持っているかどうか。それだけなんだよ。今、いろんなプロデュースをしているけど、その原点は大衆の半歩先を感じる感性だけしかない」音楽とは本来、そういう分野の仕事なのであろう。そして西暦2000年のミレニアムと前後して、音楽業界は大リストラ時代に突入している。一世を風靡した大物アーティストや歌手たちが、次々とレコード会社との専属契約を打ち切られている。えっ、あの人がと思う人物たちがいわゆるクビになっているのである。例えばソニー・ミュージックェソタテイソメソトは、2000年度から所属アーティストの大リストラに乗り出すと言われている。レコード業界関係者によると、ソニーは新譜に15万枚の売り上げというボーダーラインを設定し、それらをクリアできないアーティストとは契約を更新しない、というのである。しかも、ターゲットは売り上げ不振の演歌系アーティストに集中している。事情はポエーキャニオソも同じようなものだ。「だんご3兄弟」のヒ″卜はあったが、谷村新司、南こうせつ、石川さゆりらとの専属契約を打ち切っている。全国的に名前を知られている大物アーティストといえども、CDが売れないことにはレコード会社の儲けには結び付かないからだ。しかし、彼らはまだツアーや興行で稼げるからいいとしても、中堅や新人アーティストにとっては今や、専属アーティストという立場で仕事ができる時代ではない。しかし、山田氏は演歌の低迷という一般的な見方にはきわめて批判的だ。「演歌という分野はオリコン(オリジナルコソフィデソス)などが発表している、CD発売数と売上高をみていると売上高は年間150億ぐらいにしかならない。しかし、実際にはその倍の300億円以上は売れているはずなんです。というのは、オリコンの発表している数字は、週単位とか日単位の中で100位以内に入っているCDの各枚数なんだね。それと、音楽CDは毎月各レコード会社から数多く発売されているが、レコード店はせいぜい上位30位ぐらいまでしか数字を報告していない。オリコンはそんないい加減なデータを基に順位化しているだけで、CDの売行き実態を正確につかんだ数字とはいえない。もちろん、それはそれで一応の目安にはなるから、まったく無意味だとは思わないけどね。その程度のものなんですよ。たとえば僕がプロデュースした、天童よしみの『珍島物語』は数年間かけて大ミリオソセラーになったが、リリースした最初の頃はレコード店で30位以下のため、オリコンが毎週公表しているチャートには順位としては乗っかってこなかった。今も100位以内には入っているようだけどね。ことほど左様に、オリコソーチャートで1位なんていうのは、これはあくまでも瞬発力の問題なんだよ。今、CDを買う中心層は中、高校生など若者だから、彼らが買えば瞬発力はありますよ。何月何日発売とわかると、その日が来るのを待って待って、発売と同時にワッと買いに行く。1日だけで何10万枚も売るCDは彼らが買っている。だから、彼らをターゲットにしたアーティストたちの曲は、瞬発力もあって消化も早い。一方、歌謡曲の世界のCDはジワジワ売れていって寿命も長い。今はその売れ行きをキチソとフォローする手立てがないということなんですよ。一応、演歌チャート部門もあるけど、毎月毎月新しい曲が出てくると、ついつい新しいCDに目が移ってしまうもんだよ。それに、レコード店も古くなった曲は報告しない。今、演歌がダメだという背景のひとつにはそういったマイナス面もあるといケことです。それから歌謡曲の世界を例にしますと、不景気になってきて、トップクラスの歌手たちの仕事が昔と比べて3割以上減っている。歌謡曲の歌手が一番稼げるのは興業です。昔風にいえばいわゆる『手打ち興行』が、最近はほとんどできない。これまでは、地方では町や市、商工会などがスポンサーになったり、企業が社員の慰労のためにとチケットを1000枚購入するとかで、興行が打てた。そんな仕事が3割方減っているんです。地方の興行主にも問題があった。彼らがトップクラスの歌手を呼んで興行する場合、コンサートのチケットが1万円だとして、それを自分で買って観に来てくれる客はせいぜい5割ですよ。そこで、興行師たちは興行日直前まで待って、それでも売れ残ったチケットは自分がかぶる形で、タダ券をここ何十年間も撒き続けてきた。歌手を満足させるためにね。それで、地方の人たちはチケットを買わないでギリギリまで待っていると、タダ券が回ってくるのがわかっているからチケットを買わないんですよ。そういう悪循環をずっと続けてきた。形だけは満員だから″俺は人気がある″と歌手は満足するけどね。所属プロダクションの圧力ももちろんあります。満員にしないと次から荷物を回さないぞと脅されて、興行師は自腹を切っても満員にしてきた。しかし、その事実を歌手に話すわけにはいきませんよ。これだけ人気があるんだというごまかしのマネジメントもしなくちゃならないしね。それが、この長引く不況で一斉にフタが開いてしまったわけだ。自腹をそういつまでも切るのもできなくなって、売れたチケット分だけの興行をした結果、『あのタレントは名前はビッグだがぜんぜん売れないじゃないか。だからもうあのタレソトの興行は止めたいんだが、それをすると次に新しいスターが育った時、プロダクション側がこっちの要望をきいてくれないかもしれない。もう荷物を回してくれなくなるかもしれない』という状態になってしまった。興行の世界ではこうした葛藤がものすごくあるんです。それが現実なんですよ」芸能プロダクションは所属タレントのマネジメントをするのが仕事だが、ここにも大手として2つの組織がある。浪曲から歌謡曲まで扱う約80社あまりが加盟している「音楽事業者協会」(音事協)と、シソガーソングライターたちの集まりで伸びてきた「音楽制作者連盟」(音制連)で、音制連はポップス系志向のプロダタショソが集合している。山田贋作氏の話を続ける。「ひとつのプロダクションが何人ものタレントを抱えてマネジメントしているのは日本だけだ。欧米はマンツーマンの関係だからね。しかし、日本も21世紀を前にして今後はすごく変化していくとみている。一般論としていえば、芸能プロのこれまでのやり方、つまりマネジメントというのは、例えばCDを発売した時点でプロの新人歌手としての権利が発生するその権利の中には歌唱印税、TV・ラジオ、舞台その他タレントが最初にスタートした時の利益の配分=取分はプロダクションが9で、デビューする新人タレントは1からスタートする。それが、徐々に人気が出てくるに従って8対2になり、7対3と変わってきて、最後は1対1の関係になるのが一番ベターな姿なんですよ。つまり、年間1000万円以下の売上げしかない新人は、飲んで食って寝る最低限の生活はプロダクションが保証するけれども、タレントが手にする収入なんて小遣い銭程度なんだよ。昔の歌謡曲歌手はたとえ今はビッグでも、自分がそこまでくるまでに所属する芸能プロがどれほど努力してくれて、自分をそこまで育ててくれたかをよく知っているから、プロダクションに対して義理とか人情とか、自分をここまで育ててくれたという恩義があるから、取り分がプロダクションと折半でもそんなに文句はいわない。タレントはみんな自分が育ってきた過程をよく知っているんですよ。それこそ一歩一歩、ホップ、ステップ、ジャンプで上がってきて、その間に芸能プロ側が自分を育てるのにどれほど苦労しながらやってきてくれたかを見ながら育っているからね。自分のマネジメントをこの会社にまかせて良かった、スカウトされて良かったと思っている。しかし、短期間で一挙にスターになった連中とか、自分だけの力でスターになったと錯覚する連中が最近はかなり多くなった。こんな連中に限って『オレのCDは10億円も売上げたのに、なんで自分の取り分はこれっぽっちなんだ』なんて、新人の分際でしょっぱなから文句を言ったりするのが出てくるんだよ。そういう闘いも今の芸能プロは内部事情として抱えている。昔の歌い手は自分が大物になるまでに、プロダクションからいくら給料をもらっているか、とか収入はどれくらいあるかなんて話は一切なかった。しかし、今の連中はそれをパンパンやる。すると、独立した連中が『それくらいしかもらってないの。それなら辞めれば』みたいな話になって、聞いたタレント本人も、自分がビッグになれたのはいろんな業界関係者たちの力添えがあったからだということも忘れて『所属プロを辞めた方が身入りがよくなる』みたいな錯覚を起こしてしまうのが大勢出てきた。もちろん、それでも自分ひとりの力でその後も成功すればそれはそれでもかまわない、だけど、これまでに独立はしたもののその後は鳴かず飛ばずで消えて行ったタレントも相当数に登っているはずだよ。いきなりデビュー曲なんかが大ヒットしてしまったような新人は、スタート時点のプロダクションと自分の関係は、5対5じゃなくて9対―なんだというのを無視してしまう。そんな闘いがあるんですね。今や上場企業のホリプロの堀正雄さんなんかは、『ひとりのタレントが芸能プロの年収の4分の1以上の収入源になってはいけない』と、昔から言っている。それが堀さんの自説です。タレントがひとりしかいなくて、そこに収入のすべてをオソブにダッコしていると、マネジメントをする会社とタレントの立場は完全に逆転してしまう。タレントの方が強くなってしまう。そんな状態を許していたら、歌手や役者志望の連中は元々が自己顕示澂の強い人間だから、自分がスターになるとその顕示欲を示すために、自分のプロダクションの社長と立場が逆転するようなことを平気で言ったりするんだね。そんな連中との闘いもしていかなければならないから、21世紀に芸能プロがどんな形で存在していけるのか、あるいは必要のない存在になっていくのか、それはなかなか難しい問題だ。ホリプロ、渡辺プロなど大手の芸能プロは、タレントのマネジメントだけではなく、今は自社でテレビ番組を制作したり、映画制作をしている。ひとりのタレントのマネジメントに必要になる労力やカネ、時間を考えれば、マネジメントをやってるよりも番組制作の方が社員を養っていく上ではお金にもなるし永続性もありますよ。だから、大手プロはそっちに経営の方向を向けてますよ。昔の話だけど、新栄プロの西川さんはよく言ってましたよ。あの人は北海道にサラブレッドの西川牧場をもってますが、『馬は人参さえ食べさせとけば文句もいわない、それに金を稼ぐためによく走ってくれる、それに比べて歌手は金をいっぱい食わせても文句を言ってくる。こんなバカバカしい仕事なんてやってられないよ』と。タレントやアーティストをマネジメントするという仕事は、メーカーのように物を生産して、その中からヒット商品が生まれて儲かるという仕事と違って、人間が人間をマネジメントして、そして芸を大きく育ててそれで稼ぐのが芸能プロのマネジメントだからね、そんな仕事をしていて、おたがいの人間関係に少しでもヒビが入ったら仕事は続けられなくなってしまいますよ。そこが、この仕事で本当に難しいんだよね。音事協は音楽という名前はついているけれども、音楽だけをやっているプロダクションなんて、今ではほとんどない。お笑いタレントを抱えたり、女優さんがいたりで、今やデパートみたいに何でもありなんですよ。昔の芸能プロといえば、歌手のマネジメントをやって地方興行で稼いでいた。そんな時代から今では大幅に変わってしまいました。例えば、天童よしみの場合でいえば、彼女はもう25年ぐらい歌手歴があるけど、僕がテイチクに頼まれて5年前に、『酒きずな』という曲で初めて彼女のプロデュースをやった当時は、年間の売上はせいぜい1億5000万円ぐらいだった。それが、ホップ、ステップ、ジャンプで『珍島物語』まできた。98年度の年間売上高は20億円だよ。これっていったい何?つて言いたくもなるよね。シングル曲がひとつヒットしただけで、1億円の年商が10億円にも20億円にもなってしまう。音楽業界とはそんな世界なんですよ。こうなると、1曲のヒット曲が出ることで、それに付随してアルバムも売れていく。変な?・グッズ商品も女子高生らの人気商品になったりしてね。だから、人気歌手はヒット曲を3年に1回とか、5年に1回ぐらいは出していかないとダメだ。石川さゆりがポユーキャニオソから専属契約を打ち切られた原因はそこにある。彼女は歌はうまいし、ベストセラー曲も『津軽海峡冬景色』とか『天城越え』などいくつも持っているけれども、この何年間かはまったくヒット曲が出ていない。これじゃだめなんだよね。ヒット曲が出なくなると、どんな大物歌手でもいつしか大衆が離れてしまって忘れられていく。大衆が魅力を感じなくなってしまったら終りだよ。CDも売れなくなるし、レコード会社も首を切らざるを得ない。金だけかかって会社にとって利益にはならないんだからね。だから、歌手は真剣になってヒット曲を作っていかないといけないんですよ」いつ頃からレコード業界は山田氏が嘆くような世界になっていったのだろうか。ビジネスとしての音楽と、癒しや心のなごみ、夢を託す創造の世界としての音楽とのきしみが聞こえてくるような気がする。今のレコード業界は歌謡曲のCDがすたれ、インディーズから育ってきたロックやビジュアル系の音楽が主流を占めるようになり、レコード会社も芸能プロも音楽出版社も雪崩を打って大金をはたいてそっちの方向に走っていってしまった。今や、インディーズ育ちのアーティストたちが、芸能界の主流を大手を振って歩いている。山田贋作氏はそんな状況に対しても、未だにまだあきらめてはいない。「レコード会社のディレクターやプロデューサー、作詞、作曲家やアレソジャーなど、音楽業界にはブレーンはいっぱいいるんですよ。ところが、そういう人たちから上がってくる作品を見て下さいよ。相も変わらず、愛してるとか恋してるとか、捨てられて泣いて、不倫してどうのといったテーマが9割ですよ。これで、今の世の中、売れますか、誰が買ってくれるんですか。歌は人間社会のある種の反映だから、人間社会に毎日起きている部分に流れていくのは当たり前かもしれないけれども、もっと角度を変えて、時代の半歩先を行く曲作りがいつの時代も求められているのに、今はそれがない。僕が『無錫旅情』をプ已アユースした時などは、まずタイトルに興味をそそられてこれはおもしろいと思った。それに歌詞も、なるほど人生っていうのはいろいろあるよなという部分があった。『珍島物語』の場合も同じだよ。まずタイトルがいったい何だろうと興味をそそるよね。それに加えて南北朝鮮の統一という時代をとらえたテーマ性があった。聴き手に訴えるものがある曲は、歌謡曲でも売れるんですよ。大衆はみごとにそれを受け入れてくれるんです。でも、残念ながらそんな曲はなかなか生まれない、というのも現実ではありますがね。少なくとも私がプロデュースしたこの2曲は売れた。それは僕が師匠の浜口庫之助に教わった、社会のニーズが今どこにあるのかというのを、目先の色恋沙汰などだけではなくもっとグローバルな視点でテーマを探せば、売れる曲はもっともっといくらでもあるはずだよ。それができないのは歌謡曲に今携わっている連中の怠慢だと僕は思いますよ。演歌歌手は歌唱力や表現力はすごく持っている。それなのになぜCDは売れないのか。実はそれには今のレコード会社の体質もあるんです。例えばAという歌手がいるとします。Aは年間1億円ぐらいの売上を上げられる実力は持っている。レコード会社側もそれは折り込み済みだから、これまでは専属契約を続けてきていたんですよ。しかし、会社の事情もいろいろあって、今後は1億5000万円ぐらいは売ってもらいたい。そこでレコード会社は『この歌手は1曲出せば年間5万枚は確実に売れるから、次の曲は7万5000枚ぐらいは見込める曲を作ろう。そんな曲を年2枚出せば、目標の年間CD売上15万枚を確保できるじゃないか』という方向になってきてしまった。しかし、そんなことになると、リリースしたひとつの曲が大衆にジワジワと浸透していく前に、もう次の曲を出さないといけなくなってしまうんだよ。地道に時間をかけて売っていけば、ひょっとしたら『無錫旅情』や『珍島物語』『二輪草』のようにミリオソセラーになった曲だったのかもしれないのに、レコード会社の都合、売上を確保するためだけに次々と新曲をリリースするようになった結果、逆に歌謡曲=演歌は売れなくなる土壌を自ら、自分たちの手でつくってしまったというわけだね。それが演歌市場を今ダメにしてしまった一番の元凶だと僕は思っていますよ。レコード会社の数字合わせのためだけに、じっくり売っていかなければ本来は浸透していかない歌謡曲を、無理して年に2枚出すようなやり方をしていたら、僕は演歌というジャンルは、今後はぜんぜんダメになると思っているんですよ」山田氏は現在の歌謡曲のあまりの衰退振りを嘆く。というのも、山田氏は自分が数々のヒット曲を世の中に送り出してきたという自負と自信、そして培ってきた長い経験があるからだ。「音楽をプロデュースするとか売っていくという仕事はね、自分に信念がないとダメなんだよ。どんなに最初は売れなくても『この曲はいつか絶対に売れる』と信じて、2年でも3年でもねばってねばってやったら、その曲が大衆に受け入れられる本当にいい曲だったら、絶対に売れるんだよ。『珍島物語』や『二輪草』になるんだよ。そういう作品をみんなで作ることと、次は自分が惚れ込んだ作品を信じることだ。そして、信じたら2年でも3年でもねばりにねばって、どうやったらみんなに聴いてもらえるのか、売れるようになるのかを必死になってやっていくしかない。そうしたら、演歌だって『珍島物語』や『二輪草』のようになるのは、どんな時代だって可能なんだよね。僕はそれは信じてますよ。僕らがこの世界に足を突っ込んだ時代、今から40年ぐらい前はそんな音楽好きが一杯いた。そして、曲に惚れ込み、この曲を絶対売ってみせると信じたら、その曲を売るためにああじゃない、こうじゃないと、ヒットさせるためのプロモーション計画を、24時間寝ないで考えたものですよ。そして、新聞や雑誌、テレビやラジオなどのマスコミがどんなイベントやネタなら、売り出す新曲や歌手に興味を持って飛びついてくれるか、とそんなことばっかしをイヤというほど考え続けたものだ。それが今のレコード会社やプロダタショソにはない。みんなサラリーマン化してしまったんだね。芸能プロだといったって、本当にタレントのマネジャーと呼べるのは、そのプロダクションのオーナー社長ひとりだけでしょう。タレントに付いているマネジャーはスケジュール管理をしているだけで、自分がそのタレントに惚れ込んで。死んでもこいつをビッグにしてやる″とか″俺はこのタレントと心中してもいい″と、どうしたら売り出せるかを必死になって考えるようなマネジャーなんて皆無ですよ。マスコミや電波に乗せることをイヤというほど考えて、そして行動することが今はなくなってしまっている。それも演歌が売れない原因のひとつだと思う。それと、今のレコード会社の社員や芸能プロの若い社員たちの音楽志向はほとんどがロック、ホップで、歌謡曲の世界は好きじゃないから熱が入らないんだね。レコード会社の営業をみたってそうでしょう。音楽を聴いて育ってきた中身が僕らの時代とはぜんぜん違ってしまっている。だから、ポップスだと一生懸命やるのに、演歌の営業を担当しろといわれた瞬間、″えっ、演歌ですか?俺、知りませんよ、ニガ手なんですよ。聴いたこともないから″と、まあこんなものでしょう現在の若い連中は。この辺のマイナス面もなぜ今、演歌は売れないのかを考える上ではすごくありますね」山田氏の仕事ぶりは非常に情熱的だ。「自分の体験でいうと、僕は何年に1回かポツソ、ポツソとミリオソセラーを出す。『無錫旅情』も『珍島物語』も『人生いろいろ』もそうだし、古くはゴダイゴの『ガソダーフ』も僕がプロモートした。話はとびますが、僕が陣頭指揮を取ってプ已アユースすると、レコード会社のユーザーもディレクターも営業マソも震え上がるんですよ。なぜかというと、毎週―回、どっかのホテルに全員集合させて朝食会をやる。そして、食事をしながらひとりひとりに、これどうした、あれどうなってるとか、北海道や九州からバックオーダーは何枚きた、どんな宣伝の仕方をしているのかということなどを全部チェックして、ここはこの部分が足りない、次はここをチェックしろとか、ひとりひとりに1週間分の宿題を出す。そして1週間後の朝食会でその答えを聞く。そんな繰り返しを毎週ずっとやるんですよ。だから、僕をレコード会社の連中もイヤがっているし、怖がられてもいる。僕にはなんとしてでもこの曲を売りたいという情熱があるからなんですよ。だから、熱が入れば入るほどこわがられるんですよ。しかし、僕は若い連中たちに仕事に対してやる気があって、こうやって売れば売れるんだということをみせたいし、教えたい。今はみんな努力するのがきらいだからね。だから、僕がプ已アユースするとみんなイヤがるんだよ。しかし、そうやって苦労して売ってきた曲がミリオソセラーになったりして成功した時はみんな僕に″ありがとうございました″と言いますよ。仕事ってこうやってするものなんだというのがわかるからでしょう。こうやって、『珍島物語』が成功したのが『二輪草』にもつながるんですよ。そうやってね、24時間体勢で考え、行動してうまくいくと、僕に振り回されてきた連中がいつの間にか、仕事のやり方が自分の実になっているんですよ。僕らの世界は感性の仕事だから、自分たちで感性を磨いてその感性を成功に結びつけるためにはどうやったら良いのかを工夫する。そして先輩たちがこれまでやってきたことを盗んだり学ぶことだ。その上で社会や時代に合ったマネジメントの仕方を考える。それでトータルで動いたら絶対に成功しますよ。だから、歌謡曲の世界もなんとしてでもヒットさせようという情熱があったら、今のように低迷はしていないよ。しかし、残念ながら今はそんな人生意気に感じて仕事をするような人種がいなくなってきている。作詞、作曲家など表現者はもっと真剣になって、大衆のニーズがどこにあるのかを探り、テーマ作りからもっと勉強しなければダメだ。どの曲をみたって誰かの詞やフレーズの一部を取ってきてくっつけたりとかね。詞もメ已アイもこれだけたくさんの曲が作られていれば、どんなに創造性があったってどこか似た部分はありますよ。24小節とか36小節の中にオタマジャクシをつめ込まなけりゃいけないんだからね。しかし、みんなを感動させるテーマは今はどういうものかを探り当てるためには、作詞家ももっと血眼になって勉強しなけりやダメです。(マクラさんはあれだけのヒットメーカーで、作詞も作曲も両方やりましたが、いろんな団体には所属していても、理事とか役職には絶対つかなかった人です。『オレは毎日、作品をつくるために闘っている。そんなヒマはない。自分のそんな姿を後輩たちに見せないといけないんだ』とよく話していました。それに新人の作曲家たちによく言っていたのは、『オレはこの世界で富士山に登ったことがある。作曲家としてヒット曲もたくさん作った。だから富士山の登り方をオレは知っている。しかし、富士山に登ったことのない人間は登り方がわからないだろう。だから後輩たちにこうやってやれば登れるという登り方を教えられる。そういう先輩後輩の関係をきちっと作っておかないとダメなんだ』これが(マクラさんの理論だった。今の音楽仲間はパーティで会っても、その場でやア、やアと雑談するだけで、終わるとパッと別々に帰って行く。これじゃダメなんですよ。なんでもいいから集まって、歌謡曲の世界をもう一度立て直そうよと話し合える機会を作らないと……。そうなってくればもっと活気が出てきますよ」山田農作氏は最後にこう語った。「僕は音楽業界に入って40年になりますが、僕は音楽の仕事を精神でやってるから、音楽に携わるのが楽しくてしかたない。歳は取っても未だに青春だよ。音楽は感性であり精神産業でもあるのだから、それを生かしてどうやったら社会にいいメッセージを発信していけるのかをこれからもやっていきたいね。その上で、作品が売れてビジネスにつながっていけば一番いい」
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ミリオンセラーの暗闇
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大手レコード会社幹部に聞く音楽事情
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大物音楽プロデューサーに聞く音楽事情
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音楽業界、東芝EMIの実情
ワーナーミユージックージヤパンの音楽事情
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